2009年 06月 04日
sakuya小説 【Prism】 1th
~ prologue ~
「カナちゃん...泣かないでよ...。これ...ボクの大事にしてる宝物あげるから...」
「ひっく...でも...ソウちゃんのとっても大事にしてたプリズム貰っちゃっていいの?」
「うん...。だってカナちゃんとずっと一緒に居れないからこのプリズムが僕の代わりだよ。」
「・・・・・。ひっくっ...ソウちゃん....。」
「ほらっ...カナちゃんお空見て...大きな虹がかかってる♪ おジジが言ってたじゃん。
虹の下で約束と願いをすると必ず叶うって...一緒にお祈りしようよ♪
大きくなったらまた会えますようにって...」
「うん...。ソウちゃんとカナが大きくなったらまたここで会えますように...☆」
梅雨明け間近の空に大きな虹を見つけて跳び出して
幼い2人が庭先の欅の木の下で...小さな約束を交わして虹に向かって約束を誓い
幼いながらもおマセな2人は大人のマネしてchu♪ などと...。
まさか...家の中で騒ぐ大人たちが...ギャラリーで微笑ましく見ているとは知らず...。
当時...ソウ(7歳) カナ(5歳)は兄妹のように仲良いお隣さん同士でした。
とある町の高台の住宅街の一角だけ森林公園と見間違うような木々に囲まれた家の庭で
音楽一家のカナの家族が仕事の関係でイタリアに引っ越すことになり...送別会が行われる中
先程まで降っていた雨も上がり日が差しだすと大きな虹が現れて...
見つけた2人はこっそり抜け出して...しょんぼりしているカナを励ますソウがいました。
「ソウちゃん...カナのこと忘れないでね...。うんと大きくなったらココでまた逢ってね。」
「うん...。カナちゃんも忘れないでよ...大きくなったカナちゃんはボクのお嫁さんになるんだからねっ」
「うん...約束....ゲンマンねっ♪」
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それから...25年後...
「ちぃ兄ぃ~~~!! 起きてよ!! 早く!! また朝からあいつがストライキ起して飛び出しちゃったぜ!!」
「う...ん...。 ヲイ...今度はなんだぁ...?」
朝方まで仕事してて...仕事部屋のソファで仮眠をとっていたソウ(32歳)は居候兼ベビーシッターで
兄嫁の弟拓人(タクト)に起こされた...。
「ちぃ兄ぃ...またあの夢でも見たのかよ!いつまで引きずってんのか...いいとし歳こいたオッサンが...」
「五月蝿い!!お前にはデリカシーってもんがないのか...で...今度は何事だ?」
「あっ...そうだった...あのおチビ...コンビニおにぎりは嫌だって...お弁当作れってさ...」
ぴらっと見せた一枚の紙にはおチビの意思表示されてたお弁当の絵が描かれてた。
「う~ん...こりゃあ...義姉さんだって無理なこったかぁ...早いとこなんとかしないとな...。」
ポリポリ頭をかきながら...窓の外を見れば....
「ちぃパパ...大変!!直ぐ来てぇ!! 空が...お姉ちゃんのしちゃったぁ...!!」
「のした!!だと?!」
ソウと拓人は顔を見合わせあわてて庭に飛び出てみると...
番犬(ジャックラッセルテリア)空(クウ)がいかにも褒めろと言わんばかりにしっぽを振りながら
ご主人を見ていた...。
その横には...旅行者のような姿の少年ぽいような女性が...気絶?! いや...寝ていた。
「おい...大丈夫か?」 ペチペチとほっぺをたたいてみるが...起きそうにないので
とりあえず抱きかかえて家の中のリビングソファに移した。
…(こいつ細せーちゃんと食ってたんだろうか...にしてもお安らかにお眠りなこって...)ソウのつぶやき...。
生暖かいペロペロ...?!! 「えっ?!! うっきゃぁ~!! 」
目を覚ますと...ワンコに大・中・小の顔がのぞき込んで見られてて取り乱した...。
「おっと...大丈夫かぁ? なんであんなとこ居たんだ?」
「えっと...今朝早く...日本について...朝一の電車に乗って地図見ながら見つけたら
ホッとしちゃって...木がたくさんある家だなぁ...って思ってたら眠たくなっちゃって...寝てた。」
カラカラ笑いながらいうこの人は...。
「あっ...そうだ...ココの家主さんはどなた?おジジから紹介状預かって来たんだけど?」
「はあ?! おジジって?...まさか...あのおジジ?!なんだってまた... ちょっと見せて...
俺がココの一応家主のソウってんだ...」
懐かしい字で書かれてた封筒の中の手紙には...
【 よう! 奏 元気にしておるか?
ちぃーと訳ありな子じゃが...しばらくそこで働いてもらうことにした。
よろしく頼むぞ
じじ 】
「・・・・おジジのやつ...何考えてんだか...ココは野郎ばっかりの住む家なんだぞ!!」
ソウはぶつぶつ言いつつも...どうしたものかと頭ひねってる間に...
幼稚園児のおチビこと...陸(リク)は交渉に入っていた...。はやっ...。
「お姉さん...あのさぁ..お料理できる?」
「モチロン♪ 大好きだよ♪ 」
「じゅあさぁ...早速だけど...ボクのお弁当作ってくれるかな?時間ないけど...」
「あはっ♪ 良いよ♪ どんなお弁当が良いの?教えてくれるかな?」
「こんなの...♪」って...先程大中2人で見て溜息ついた紙を得意満面な顔で見せてた陸。
「かわいいっ♪...好き嫌いはないの?材料はあるのかな?早速作るわよ♪案内して♪」
目を輝かせた陸は喜んでキッチンへと案内して行った...。
空も嬉しそうにシッポを振りながら後に続いて...。
あっけにとられた残された2人...。
「ちぃ兄...良いのかよ...女の子だぜ...おジジが寄越しったって...どうすんだよ...
まあ...俺としちゃあ...助かるけどね...毎朝のストライキがなくなるのは...」
「そうだな...。 おジジが何企んでんのか知らねーけど...助かるわな...
ヲイ...時間は大丈夫なのか?俺は午前中に片付けないといけない仕事があるんだけど...」
「今日は2講時からだから...陸は俺が送って行くよ♪」
「悪りぃが頼むな...。帰りは何とかするから...よろしくなっ」
ひと騒動後に仕事部屋に戻ったソウは...仕事に取り掛かった...。
拓人は...出かけの準備にと自分の部屋へいき支度をして...
キッチンに行くと... 今までにない美味しそうな香りが漂ってるのに驚いた。
「拓兄ぃ~♪ 見て♪ 凄いよ♪ 僕のお弁当~♪」
と...満面の笑みでもぐもぐ口動かしながらお弁当を指差して言う陸。
ワン♪ どうやら空も朝食にありつけているようで嬉しそうだ..。
「全ての言葉の後ろに音符つけてる陸なんて珍しいな♪ どれどれ...おっ♪こりゃ凄い」
陸の絵の通りに作られてたお弁当...。
それに...朝食...。
サラダ・オムレツ・カリカリベーコン・トーストのワンプレートにフルーツヨーグルトにジュース。
「あの...ここにあったもの勝手に使わせて貰いました♪ 冷めないうちにどうぞ♪」
こんな朝食スタイル...ココに来て初めてじゃねえ?などと思う...ダイニングに並べられた朝食に
目が点になってしまった拓人。
「ちぃ兄は仕事に入ったからしばらくは部屋から出てこないから...陸今日はオレが送って行くからな」
「えっと...朝食食べずに仕事ですか?なんて人...」
「...うーんとねっ...ココは男所帯でみんなバラバラなんだ...。食材は差し入れで届くみたいな感じ
結構世話焼きな連中がたまり場としてるから...食うことには困らないんだ...ただ...
こういう家庭的な食卓は初めてオレ体験するかも...」
目を丸くした彼女は...あっけにとられてた...。
「拓兄ぃ...遅刻するぞ!! 幼稚園始まっちゃう...急いでよ♪」
いつも駄々捏ねてる陸は今朝はご機嫌に自ら着替えて出かける準備を始める...。
拓人も...先程から美味しそうな匂いで隙っ腹な状態を満たすかのようにぱくついた。
「美味しいよ♪ 上手いね♪お姉さん♪」
「お姉さんって...私カーナって言うのっ。よろしくね♪」
美味しそうに頬張る拓人に笑顔でウインクして見せた...。 ドキン♪ (オレ...マジ恋二落チタカモ...)
真っ赤に照れつつも食べ終えた拓人はご馳走さまって手を合わせてから
「ごちそうさま♪ オレ陸連れて幼稚園送ってから大学行くから...後ヨロシク♪
ちぃ兄は一仕事終えるまで部屋から出てこないから...そうだな...10時頃部屋ノックしてみて
返事がある時だけ声かけて...でないと仕事中は集中してるから邪魔されるの嫌なんだって
それまで...適当にしててよ。...朝から大変だったね..ありがとう...歓迎するよ♪
じゃあ...行ってきます♪ 」
慌ただしく賑やかな2人が出て行くと...し~んと静まり返った...。
家の周りの木々たちが風になびきながらサワサワと音楽を奏でているようだった。
つづく
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by sakuya
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♪ あとがき ♪
この前からしたためて頭の中で妄想してたお話を遂に書き始めました。
思い立ったら何とかで...リハビリには良いかなって思いつつですが...。
さてさてどうなりますか...。
ボチボチで楽しみたいと思っています。
どうぞヨロシク ♪
無断転載はお断りしますので...温かく見守って下さいね♪
by sarasa618
| 2009-06-04 11:16
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